インターネットラジオからハイレゾ・プレイヤーへ-その4-
これまでの「その1~その3」でとりあえず「インターネットラジオ機能」のご紹介を終え、次回からいよいよ「WebDAV 機能&ハイレゾ・プレイヤーへの挑戦記」に移ります。
その前に、ちょっと一息つかせていただきます。
今回は、作者 Rikkicat さんからいただいた当ブログへのコメントとメールのやりとりを通して知ったアプリ製作の裏話と、私が感じた作者の人となりについて、です。
Yardbirds ユーザーなら絶対気になっているのでは? と思われることを抜き出してみました。
作者の思い入れや人柄などを知れば Yardbirds Plus というアプリに対する理解も深まるかも知れません。
ということで、今回のサブタイトルは
Yardbirds の知られざるナゾ、あの鳥は何?
以下、Q&Aでいってみます。
(Answer は作者からお聞きした言葉を少々アレンジさせていただいてます)
Q Yardbirds って、アイコンの鳥の名前?
A そうでもあるし、そうでもないかも。
ちなみに、アイコンのイラストはニワトリです。
Q ニワトリが好きなんですか?
A 雉が好きです。雉はカラスをやっつけてくれますよ。
ちなみに、カラスについても詳しいです。ハシボソは頭とクチバシのバランスがよくて西洋のレイベンに似てかっこいいです。
ついでに、私の iOS アプリは一部例外はありますが、原則的に鳥シリーズです。実は最初につくったアプリの名前は「アルバトロス」でした。ピンク・フロイドの「エコーズ」の歌詞や初期のフリートウッドマックの名曲「アルバトロス」からインスパイアされました。
Q で、Yardbirds ってニワトリのこと?
A 違います。Yardbirds は、音楽を聴き始めた頃にEクラプトンのいた伝説のロックバンド「ヤードバーズ」のファンになり、さらにクラプトンが尊敬している“モダン・ジャズ(ビ・バップ)の父”チャーリー・パーカーの大ファンになったことからつけた名前です。
Q アイコンの扇子と日の丸は?
A 扇子は角度を 120度にしてあり、これはVUメーターの動きからの連想です。日の丸は、たまたま扇子を含んだ家紋があったので…
Q ハンドルネームの Rikkicatって?
A 私のブログ名でもありますが、リキは飼い猫の名前。トムキャット、ジェリーマウスなんかと同じです。犬も好きです。
ちなみに、屋号はリキシステムズといいます。
Q Yardbirds をつくられたワケは?
A 昔も今も音楽好きのラジオ小僧です。満足できるようなラジオやクラウド音楽プレイヤーがなかったので、まずは自分用にとつくりました。音楽用ラジオ兼 GoogleMusicやAmazon Cloud Player の代わりですが、当初よりハイレゾ・プレイヤーをめざしていました。
※Google Music は、Google のオンラインストレージを使って Android 端末で音楽を聴くクラウドサービス。無料で20,000曲まで保存できるそうですが、まだ日本では公開されていません。
※Amazon.co.jp は昨年11月から日本向けの音楽クラウドサービスを開始。「Amazon MP3ストア」で購入した楽曲をスマホで聴くアプリが「Amazon Cloud Player」。iPhone でも利用できます。
Q やはり相当な音楽好きだったんですね?
A ロック→ブルース→ジャズ と言う流れでした。
ウォークマンがデビューしたのが高校を卒業する頃(ジョン・レノンやジョン・ボーナムが亡くなった頃)でして、以来、イヤホーンやヘッドホーンでフルボリュームで聴いてきました。おかげで少し難聴気味。
Q Yardbirds の製作にはどれくらい?
A 開発には半年以上かかりました。若ければもっと早かったかも。
Q どんなアプリを目指したのですか?
A 実はラジオはオマケで、当初からクラウド音楽プレイヤー(ハイレゾ・プレイヤー/音楽専用 WebDAV ブラウザ)でのリリースを目論んでいました。ただ、最初のリリース間際でラジオ以外の部分に致命的な問題を発見したため、やむなく急遽オマケ部分だけでラジオとしてリリースし、その後、その技術的な問題の克服のために数ヶ月も費やしてしまいました。
iOS アプリのユーザーは厳しいので、音楽プレイヤーからすぐ音が出ないと即削除されるというのを事前に耳にしていました。不幸な事ですが、iPod ライブラリを再生しない音楽プレイヤーはこの問題を生まれながらに抱えています。
ですから WebDAV の設定なしでも音が出るようラジオの実装が不可欠でしたし、それ以前にチューナーに辿り着く前にダメ出しされて削除になるのを回避するためにプリセットラジオ局を設ける必要も発生しました。
操作方法や振舞も従来の慣習を無思慮に踏襲するようなことは避けています。
Q プリセット局の選定にもすごいこだわりを感じます
A iTunes から抽出した 8000局すべてを聴いて音質を吟味して最適なチャンネルをチューナーに搭載し、その中から内容と音質を吟味してプリセットラジオ局として設定しました。けっこう大変な作業で、丸2日かかりました。
何万局聴けますよというふれこみのラジオ(これが大半ですが)は、巷で入手可能なチャネルのリストを表示しているだけです。Shoutcast/Icecast/Live365 のチャンネルを列挙しているだけだと繋がらない局がすごい数にのぼりますが、まともなプログラマにはそんないい加減なことはできないはずなんですけどね…
ただし、魂が感じられないテクノとかトランスとかは理解できないのでプリセットできませんでした。
Q プレイヤー画面のdBボタンやメーターなどは昔のオーディオ機器そのものです。
A 単なるデザインではなく、音声出力を忠実に反映しています。レベルは RMS(Root Mean Square) で、昔よく目にした VU とは少し違います。ピークはアナログ時代のピークメーターと原理は同じです。
ちなみに、Apple の API で得られるメーターの情報は微妙に遅れていると感じております。一時は補正しようかと思いましたが、そこまでパラノイドになる必要もないと放っておいています。
Q 当原稿は次回その5から「ハイレゾ・プレイヤー」をテーマにしますが、Rikkicatさんのハイレゾ・プレイヤーにかける思いは?
A 私のアプリは機能を特化することで自らユーザー層を狭めてしまっていますが、ただのラジオではない(簡易的な)オーディオデバイスであると自負しており、自信を持ってオーディオ雑誌の出版社に売り込んでいます。
Q アップデートのスピードに加速度がついていますね。
A ここ2回のリリースはそれぞれ販促用の機能アップと障害対応なので、全然たいしたことはやってません。
このような短期間で対応できるのは、Apple のアプリ審査が加速されているからなんです。最近は、速いとレビュー待ち2日、レビュー時間が1時間以内だったりします。以前は、概ねレビュー待ち2週間、レビュー時間が半日でした。
Q 最近は他のアプリでも「審査待ち」という言葉を見かけなくなりましたが、そういう環境の変化があったのですね。
それでは最後の前に、ご自身でご自分をどうのような人間だと?
A 自分は典型的な A型の日本人です。人間としてスケールは小さいし揉め事が嫌いです。ただし、仕事への責任感やモノ作りにおける誠実さはそれなりにそなえていると思ってます。
Q 最後に、プログラマやSEのお仕事はたいへんですか?
A 一般にユーザーへの認知が難しく、アプリ製作者の中には課金を断念する知り合いの開発者もぽつぽつと出て来ています。
プログラマや SEといっても、下請けとインハウスの人ではまったく状況が異なります。大企業にいた時分(周囲の同僚より頑張ってはいましたが)そもそもスキルが低い上、スキルに見合わない給料を貰って調子に乗っていました。
下請けに専念するようになってからは、(酷くこき使われるので当然)スキルが向上しましたし、スキルに見合わない給料を貰うこともなくなりました。どちらの環境も極端なので、その中間があればよいのにと当時は夢想していました。
現在はサラリーマンではないので上記の厭な事柄とは無縁ですが、お金とも無縁になってしまい、シオシオのパーって感じです。
Q 本当の最後に、アプリの名称ですが、「Yardbirds ハイレゾ・プレイヤー」は“通称”ということですが、正式名称は?
A Yardbirds Plus が好きな名前ですので、これで統一していただければ本望です。
ありがとうございました。
* * * * *
Rikkicatさんは「ラジオはオマケ」とおっしゃっていますが、それはRikkicatさんらしい謙遜の表現です。
正しくは「Yardbirds Plus は、WebDAV ストリーミング(ハイレゾ音源の再生)を目指しているアプリで、インターネットラジオ機能についても作者がこだわりぬいてつくった、音楽ファンのためのアプリ」だと思います。
私の思いつきと個人的な好奇心からですが、こんなに長々と、アプリ以外のことまでいろいろお聞きしてしまい、申し訳ありませんでした。
でも、おかげで Yardbirds Plus がすごく身近な存在になったような気がします。
それに、Rikkicatさんが、生真面目で、謙虚で、パラノイドチックで、ちょっとがんこで、反骨精神と独特のユーモアがあり、音楽だけでなく鳥やペットや自然を愛する優しい人であることがわかり、何だか心がほのぼのとしてきました。
また、プログラマの仕事の厳しさを知れば知るほど、逆に、Yardbirds Plus に賭ける熱意の大きさも伝わってきました。
これからも Yardbirds Plus に関する投稿を続けますが、よろしくお願いします。
* * * * *
じつは iPhone アプリについて、昨年あたりから新しいアプリを購入することがめっきり減りました。私の場合、ビジネス系のアプリが中心ですが、ほぼ必要なジャンルのアプリをインストールしてしまっているのと、目新しさを感じるアプリがあまり見られなくなったことが理由です。
もちろん、仕事上必要なジャンルのアプリは新作をチェックしますが、よく使うアプリもほぼ固定化してきており、以前ほど興味を引くものがなくなっています。これって、マンネリ化、かな。
そういった状況の中で出会った Yardbirds Plus というアプリは、インターネットラジオがきっかけでしたが、今は「ハイレゾ・プレイヤー」という、私にとってはまったく未知なる世界への扉を開こうとしています。
最初(じつは今でも)説明文を読んでもわからないところがあり、マジでお手上げ状態のときもあるのですが、それでも作者の熱意に引き込まれてここまできました。
まだまだ理解できないことが多いのですが、それでも半年前と比べると、ほんの少しだけですが、現在のネット通信や iPhone(iOS)の音楽アプリの世界(の一部)が見えてきた気分になっています。
次回「その5」から、いよいよ WebDAV 機能&ハイレゾ・プレイヤーへの挑戦が始まります。
はたして、うまく扉が開いてくれるでしょうか… 少し不安です。
*続く
インターネットラジオからクラウドラジオへ-その1-
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