私的広告コピー制作十戒
伊藤正先生(故人)の教えをもとに、長年の文章修行や仕事の体験からたどりついた、私なりのコピー制作の十戒です。
十戒(10の戒め?)と書くとものすごく古めかしくて大げさですが、先生の教えが入っているということでお許しください。これは私が今でもコピーを作るときのチェックリストですが、この中にはふだんの仕事(最近は編集ワークが多いです)やメールなどを書くときに気をつけているポイントもあります。
メール、手紙、日記、編集記事、コピー(広告文)、エッセイなど、同じような文章でもTPOによってそれぞれイメージも書き方も異なるのですべてにあてはまるとはいえませんが、何かのご参考までに。
私的広告コピー制作(文章作成)十戒
1.そのコピー(文章)の目的は?
- 何を伝えたいのか
- わかりやすく表現できているか
- むずかしい漢字や言葉を使ってないか(中学校の教科書レベルで十分)
2.どんな立ち位置(視点・立場)で、だれに対して書くのか
- 消費者、ユーザー、顧客、社会的弱者、提供者側、関係者…
- だれに伝えたいのか、読者を絞り込めているか
- 読者にこびていないか
3.ウソは書いていないか
- その内容は事実か
- 事実と虚構を明確に分けているか(意識しているか)
- 証拠があるか、証明できるか、再現できるか
- 矛盾点はないか
- 自分の気持ちに忠実か
4.オリジナリティ・個性があるか
- 人マネでないか(これまでどこかになかったか)
- 本当に自分の感覚・自分の言葉になっているか
- 新しい視点があるか、既成概念を崩しているか
- アイディアが1つ以上あるか
- 自慢話や自己満足な文章になっていないか
- 創ることを楽しめているか
5.シンプルになっているか
- 伝えたいこと・結論を最初に書いているか(基本)
- 本当に伝えたいことを最優先に表現しているか
- 必要最小限の文章量か、ムダ・冗長な部分はないか
- 過剰&過大な表現になっていないか
6.日本語としてのリズムはあるか
- 文書(文章の集合体)の構造が自然になっているか(ムリがないか)
- 語感のなめらかさ
- 語尾(です・ます・体言止め)の流れが不自然になっていないか
- ひらがな・カタカナと漢字の(見た目の)バランスはとれているか
- 現代文になっているか(古い言葉・文体が混じっていないか)
- 無意識に文語を使っていないか(意識して使っていればよい)
- 最後は縦書きにして、全体と細部をチェックする
7.感情と論理が共存しているか
- ホット・情とクール・冷静さ
- 現代人の感覚に合っているか
- KYになっていないか
8.コピーになっているか
- コピーとしてこだわっているところがあるか
- 単なるまとめ文になっていないか(通常文との違いを意識しているか)
- キャッチ(キャッチフレーズ、アイキャッチ)があるか
- ボディコピーに〝落ち〟があるか(または、ないか)
- 全体としてまとまりがあるか(ビジュアルと一体化しているか)
9.ユーモアがあるか
- 人間味があるか、情があるか、人の心を打つか、共感をえられるか
- 現代人の心を掴めるか、読者に納得してもらえるか
- 読み手にとって魅力がある(期待されている)内容か
- もう一度読みたいと思わせられるか
10.その他のチェックリスト
- 依頼主の問い・テーマ・求めに対して適切に答えられているか
- 問い・テーマ・求めを正しく理解できているか
- 問い・テーマ・求めに正しく答えているか
- メディア(掲載媒体)に適したコピーになっているか
- 文字数(量)が多すぎないか(質と量のバランス)
- ドラマ性・エンターテインメントがあるか
- インパクトはあるか
- 不自然さはないか、詭弁になっていないか、あざとくないか
- 単なるダジャレで終わっていないか
- 安易に流行語を使っていないか
- 取材相手・情報提供者への気遣いは十分か
- 読者への気遣い(サービス精神)は足りているか
頭が痛くなってきた?
じつは私もです。
常にこのすべてをチェックしながら…なんて、できませんよね。とりあえずは、この中で自分がコレダ!と思ったことを意識することから始められてはいかがでしょうか。
私?
私も完璧にはほど遠い状態なので、今も努力中。(安心しました?)
書くことに目覚められた方は、最初は上のどれか一つでいいのでマスターするよう心がけてみたらいかがでしょうか。意識して書いているうちに、自然に自信もついてきます。
私は意識して文章を書き始めた最初のころから、「6」のリズムを意識しています。自分でも理由はわかりませんが、たぶん、音楽(うた)が好きだからだと思ってます。
文章(コピー)がうまくなる最大のコツは、できるだけ毎日何かを書くことだと思います。
これはアスリートたちが毎日練習するのと同じです。落合元監督がドラゴンズで地獄のキャンプを敢行したのと同じです。文章を書くのも野球をするのも、真剣に取り組むのなら、じつは同じ…(まったくの私見ですが)
でもじつは、本当のことをいうと、“文章がうまくなる”ことなど、必要はないのかも知れません。
うまくなることよりも、「自分の気持ちを素直に表現できること」のほうが何倍も大切なことだからです。はっきりいって、つたない手書き文字、誤字だらけ、文法無視の文章(私は下手とは思いませんが)でも、その人の人柄や思いが強く表れていれば人の心を打ち、心に響きます。
要は、文章はうまい・へたは関係なく、自分の気持ちを素直に、わかりやすく、正確に伝えられればいいだけです。そうなるために、凡人の私としては書き続けるしかないと思っているだけです。
メモでも日記でも、俳句でも、メールでも、エッセイでも、とにかく書き続けること。体力と気力の許すかぎり続けたいですね。
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